非常事態に対応するために住民の権利を侵すことは許される。その必要性を認めなければならないが、行政の事後で償う責任も認めざるを得ない。特定の人に大衆のための行動の負担を完全に転嫁することは許されない。
基本的な賠償は、行政の行動が適切だった場合にも認めるべきである。非常事態で事前交渉や不服申し立てをする余裕はなかったので、行政は潔く賠償を払うべきである。原則として、裁判も申請も待たずに払うべきなのではないか。行政側で、何をしたのは把握するので、すぐに賠償できる。もちろん、住民が不満を感じたら訴訟しても良いが、行政の行動から被った被害に対して、訴訟や申請の負担を課すべきではない。
残念ながら、完全に賠償できないこともある。例えば、歴史のある祖先代々の遺品が入っていた家が撤廃されたら、その実物を返すことはできないし、お金が到底至らないだろう。行政にお金で賠償する義務を認めるが、行政の行動は適切だった場合、賠償できない部分を災害の被害の一部として考えるべきだろう。災害で悲劇が発生する。
それでも、行政が必要な対応の範囲を逸脱して住民に負担を課したこともあり得る。その場合、さらなる賠償が必要となる。非常事態権力を持った県知事の刑事責任も問われる場合がある。
まず、行政が間違えて必要以上な制限や侵害を与えた場合はある。それは避けられない。非常事態はややこしいし、情報はいつも不十分である。それでも、非常事態であるから、慎重な情報収集や考察を行う余裕はない。すぐに動かないと更に酷い事態が発生する恐れがある。だから、間違いを行政の批判の根拠とできるとは限らない。それでも、間違いだったので、事後に誤りを認めて、賠償するべきである。
それでも、非常事態の下でもある行動は適切ではないことは十分理解できた場合もある。その場合、賠償額に影響を認めないが、罰を与えるのは良い。賠償額に影響を認めない理由は、行政の動機や判断の質によって損害が変わらないからである。行政が適切に家を壊すか、誤って壊すか、悪意もって壊すかによって、家が壊された被害が変わらない。そして、賠償金の金額がこの場合上がれば、住民に行政に対して刑事責任を強調する動機を与える。この状態を避けなければならない。非常事態はいつも難しいので、紛争の種をわざと撒くべきではない。
過失や悪意的な行動に対して、行政の職員に罰を与えるべきである。非常事態でも、国民に被害を与えないように十分気をつけなければならない。勿論、軽い場合もある。その場合、懲戒処分で済ませても良い。正式に咎めることが足りる場合もある。しかし、本当に悪質な場合もある。その場合、懲役などの刑罰を科すのは適切である。知事などの権力を握った方の悪質な行動に対して、一番厳しい刑罰を与えるべきである。死刑がある制度で、死刑である。死刑はない制度で、無期懲役になるだろう。
これは本当に最悪の悪質行動に限るが、非常事態の悪用は為政者の行動として、有権者を裏切る行動を極まる。最悪の場合、多数の人の死に至ることもあるので、殺人と同じ刑罰にするのは適切であると私は思う。
ただし、非常事態の最中でこのような問題を解決することはできない。このようなことは事後の活動に属する。だからこそ、非常事態を終わらせる権限を複数の機関に与えるべきである。