契約社員の時限

契約社員が永遠まで更新される短期契約の不安定な雇用状態に陥らないように、法改正があった。その内容は、5年間以上契約社員として雇ったら、もう更新できなくて、さらに雇用しようとすれば、正社員としなければならない。

主に逆効果を生んだようだ。契約社員が同じ会社で5年間働けば、経営陣は正社員を増やしたくないので、解約して、別な人を雇うことになっている。だから、年ごとの更新の不安定に加えて、必ずと言っていい程5年ごとに新しい雇用先を探さなければならないことになっている。もちろん、ずっと短期契約であることには変わりはない。

これはやはり法律の失敗である。人の雇用を基準とすべきではなかった。寧ろ、役割を基準とすべきである。つまり、同じ役割を5年間果たしてもらったら、その役割を正社員に担ってもらわなければならないとの規定は適切だろう。

これは法律の趣旨に沿うと私は思う。趣旨は、実は長期的に必要とする役割を短期契約の社員に果たしてもらわないことである。定期契約は、短い間にしか必要とならない役割を果たしてもらうためである。例えば、オリンピック・パラリンピックで短期契約のスタッフは多いと思われる。数週間しか開いていない催しであるので、正社員にする余裕はない。しかし、ホテルの受付はいつまでも必要であるので、短期契約で果たすべきではない。ビル掃除も同じである。

法律がこう改正されたら、状況が大きく変わる。ある役割を一年ごとの契約で果たしてもらったら、6年目になるとその年担う人を正社員にしなければならない。新規雇用であっても、契約社員として雇うことは禁じられている。それで、長期的に必要とする予想のある役目に、すぐに正社員を雇うことが多くなると思われる。1年間契約で契約社員にやってもらってから、その人が上手くできれば、正社員とするのは賢明な方針だろう。4年以内長期的にできる人を見つけなければならないし、もう見つけたようだから、すぐに雇った方が良い。そうしないと、働く人が辞める恐れがあるし、後任を見つける保障はない。

下請け会社でも同じである。例えば、掃除を提供する会社なら、その掃除を行う人を正社員としなければならない。

企業側から見れば、これは確かに負担になる。しかし、低所得層に負担がかけられて、社会問題になっている状態はこの法律の動機になっている。その上、この規則は賃金の引き上げを要請しない。理論上、経費がそれほど変わらない。ただ、低所得の仕事をしている人に安定した雇用を与える。これは、事務の仕事にも、大学の講師の仕事にも見られているので、いわゆるブルーカラーに限らない。

不安定になった状態を改善する筈の法律が寧ろ悪化を導入したようだから、改正をすぐにした方が良いのではないか。

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