社会問題の優先順位

日本は複数の問題に直面している。環境問題、少子高齢化、安全保障の緊迫状況、格差社会などがよく取り上げられる。過疎過密問題、経済的な安全保障、女性の社会進出も。このような深刻な問題を同時解決できる政治家の気配はない。しかし、これで現在の政治家を批判するわけにはいかない。

そもそも能力の問題でもないと思う。この問題の間に複雑の相互影響があるため、全ての問題を同じ重要度で考えれば、取れる方針はない可能性さえある。つまり、何もしないと全ての問題が悪化するとしても、どの具体的な方策をとっても、問題の間の格差をつけてしまう。多くの場合、一つの問題を改善することで、もう一つを悪化させてしまう。安全保障が良くなるが、格差が悪化するとか、少子高齢化が改善するが男女平等が損なうとか、過疎化に歯止めをかけるが環境が悪化するなどの可能性がある。

それでも、この問題の全てを放置して悪化させるわけにはいかないだろう。だから、優先順位をつけなければならない。

まず、安全保障は現状維持がいいと思う。現時点では、実際に問題になあるかどうかは不明だし、有力な対策も不明だ。例えば、軍事力強化で衝突を防ぐ場合も招く場合もある。(元自衛官は当然防衛費の予算を上げてもらいたいが、それは必ずしも得策であるとは限らない。)適切なやり方がわからないで、悪化をもたらす恐れもある。だから、現状維持がいいと思う。

格差社会も、女性の社会進出も、後回しできる問題だ。時間が経っても、解決が難しくなるわけではない。男女平等を今のままで称えることで問題が解決するとは思えないが、悪化が防げるようだ。同じように格差に拍車を掛けない限り、将来にも解決に取り組める。多少悪化しても、極端な話ではない限り、著しく解消しにくくなるとは思い難いのだ。

残りの三つは違う。

過疎過密問題で、地方の集落がなくなったら、田舎の再生が一層難しくなる。町にはまだ小学校やスーパーがある時点で再生と取り組めば、再興できるかもしれない。小学校もスーパーもなくなったら、まずそのインフラを作り直さなければならないが、教員や店員の移住を促すことが難しくなる。インフラを失う前に維持することは、再構築より何倍も何十倍もやりやすいのだ。

少子高齢化は、若者が少なくなればなるほど、人口の構造を改善することが難しくなる。できれば、持続可能な人口を目指したいが、その総人口が3000万人になったら、日本の社会が大きく変わるし、その激変に応じるのは難しいだろう。完全な解消を目指している間に、少子化の緩和を確保しないと、解消法を見つける時点で、もはや遅いだろう。

そして、環境問題はすでに遅い可能性は十分あるが、変化の影響をなるべく緩和することは大喫緊だ。放置すれば、軍事的な侵略より厳しい結果になる見込みだ。確かに、日本には山は多いので完全に沈むはずはないが、現在の都市に住めなくなる可能性は十分ある。その上、適切な対策は概ね把握している。20年以上前からそうだが、適切に動く国はこの世にないと言えよう。

だから、この三つの問題を優先すべきだと私は思う。他の問題に良い影響を与える方策を可能な限り取った方が良いが、副作用の意識に留まる。方策の目的はこの三つの問題の解決であるべきだ。

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