家族条項

保守派が憲法改正を論じる場合、家族条項を提案することがある。この条項で、家族がお互いに支え合う義務を課すなどの提案がある。

このような案に私は猛烈に反対する。

まずは、憲法の役割に合わない。行政や立法の行動を制限しない。国民を束縛しようとすれば、普通の法律を利用しても良い。その制限が憲法の保障する権利に違反すれば、やめるべきである。

普通の法律でも、このような法律は大きな間違いであると思わざるを得ない。家族の絆を法律で義務化することはできない。「愛し合え!」と叱っても、効果はない。

このような法律などで、家族を経済的に支えるような命令が出せるようにして、生活保護などを抑える狙いが垣間見えるが、それも間違いである。憲法第26条で国に生活保護を支給する義務を課す理由がある。行政は冷静で迅速に必要性を測って、対応できる。家族からの支援を要求するば場合、その家族が不服すれば、どうするのだろうか。勿論、法廷での争いになるが、判決が言い渡されるまでの措置が必要。支払わせると、支払う側に大きな負担を課す恐れがある。支払わせないと、支援を必要とする側が苦しむ。適切な解決策はないと言えるほどだ。だからこそ、行政が保護を出すべきである。(そして、申請の却下に対する不服があれば、原則として決まるまで保護を支給する。)

もう一つの狙いは、同性婚を堅固に禁じることであろう。これも行政や立法の束縛ではないので、憲法に相応しくない。日本の法律でもう禁じられているので、憲法で禁じようとすれば、もしかして法律が変わるのではないかと恐れるかと思われる。しかし、その場合憲法改正を実現できるはずはない。法律で認めそうな気運になったら、憲法で禁じる運動が成功を収めるはずはないだろう。

憲法に家族条項を定めたら、どのような形になるだろう。行政などが家族に関与できないことだろう。それは先ず、同性婚を認めることと直接に繋がる。同じように、養子縁組の規制を違憲とする。家族の構造を制限することは、家族への強い関与であるからだ。義務教育は憲法に明記されているので、特別法の優先制で生き残るが、家族のある人に懲役の刑罰を与えるが憲法違反になる。家族を強制的に破裂することは明白に関与であるからだ。(犯罪を犯した人に罰を与えることは憲法に許されるが、犯人の家族に関与する根拠はないので、結局懲役などが無理になる。)

家族を保護したければ、例えば残業規制を厳しくしたり、単身赴任を禁じたり、強制転勤を禁じたりするのが良かろう。これは会社が行う家族を損なう行動であるから。

家族は重要で、多種多様であるので、国家との関係は複雑である。普通の法律で家族を擁護するのは良いと私は思うが、それは企業や行政の規制になるのではないか。家族の中で、虐待を禁じる以上、法律は何ができるのか。理想的な家族は、法律から産まれない。

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