アメリカの実例

ここで主張している非常事態宣言のあるべき形を裏付ける実例が先日発生した。アメリカのトランプ大統領が平成31年2月15日に非常事態を宣言した。そのきっかけは、大規模な自然災害やアメリカへの襲撃ではない。寧ろ、ただ単に国会が自分の政策を実行するための予算を供給してくれないからである。

これは明らかに権力の濫用である。アメリカの憲法で大統領が国会に予算を求めなければならない理由は、大統領が国会の承認なしに独自の政策を実現することを防ぐためである。憲法の形から明らかだし、憲法の制定当時の記録からも明らかだ。だから、民主党の反発と法的な措置で抗議する姿勢はごく当たり前である。しかし、これで止められるかどうかは不明だ。非常事態の法律があるし、国会の承認を待たずに施策を実施する権限を大統領を与える。トランプ大統領が法律を正しく把握するかどうかを疑う余地は確かにあるが、政権に弁護士があるはずであるので、トランプ大統領の行為は法的に認められていると信じる余裕もあるに違いない。最高裁判所の判断に任されるだろう。

このような濫用を防ぐために、非常事態宣言を首相に出してもらうが、その権力を県知事や市区町村長に与えることを提案した。アメリカにはそのような措置が取られたら、どうなったのだろう?

まず、アメリカ合衆国の構造を考えれば、大統領が宣言して、州知事に権力を与える形は私の日本に対する案に類似する。そして、この非常事態宣言は、メキシコとの国境で壁を建設するためであるので、国境沿いの州知事に権力を与えるしかない。それ以外の州であれば、壁を建設することはできないからである。それはどこだろう?カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、そしてテキサス州である。

アリゾナとテキサスの知事はトランプ大統領と同じく共和党だが、カリフォルニアとニューメキシコの知事は民主党だ。大統領から権限が与えられても、壁を建設するはずはない。むしろ、非常事態の権力を利用して、トランプ大統領と大きく異なる移民政策を導入する可能性さえある。トランプ大統領はそのような権限を政敵に与えたくないのは想像に難くないだろう。一方、国境の一部に壁を限れば、意味は明白にない。

だから、非常事態宣言を発令するはずはない。私が提案する形で、この問題を未然に防ぐ。

一方、本当に非常事態になったら、例えば自然災害などの場合、政敵でも権限を与えることは問題にならないだろう。地震等に対応するために動くので、問題にならない。

要するに、この形で非常事態宣言を導入すれば、実際に見える権限の濫用を防ぐことはできると思われるので、強く勧める

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