生活を維持するために、職業は必要である。生活保護があるが、それは最低限の生活維持で、社会の地位を保障しない。だから、意見の表明のために解雇される恐れがあれば、それは表現の自由を厳しく制限する。
だから、表現のために従業員を解雇する、または懲戒処分等の不遇するべきではないし、法律で禁じるべきと思う。
二つの例外を認めることはできる。一つは、業務の一部を成す表現は業務に不適切であれば、それは懲戒処分の根拠となり得る。(もちろん、軽微の場合、懲戒処分しなくても良い。)これは業務の一部を成す表現に限るので、まず業務時間外の表現は対象外になる。そして、業務時間であっても、業務を行っていない場合、または表現は業務と関係しない場合は、懲戒処分等の根拠になってはいけない。例えば、ビル掃除を行っている二人の従業員が掃除しながら、その掃除をしている建物に入っている会社の悪口をしても、懲戒処分にしてはいけない。業務は掃除である。悪口は業務と関係はない。それは、顧客となる会社の社長が悪口を聞いても、変わらない。
(もちろん、悪口が顧客の会社の業務妨害にいたれば、話は別だが、その問題を割愛すると先に述べた。重要で難しい問題だからこそ、別な機会で扱うつもりだ。)
もう一つの例外は、企業を代表していると見せながら、企業の意見と違う意見を発信する場合である。しかし、企業を代表していると見せることは厳しく解釈すべきである。法律で、相手は企業や個人の代表者であると善意を持って信じる場合、契約を結んだら、契約が原則として成り立つ。偽って代表者であると主張した人を相手取り訴訟することはできるが、契約を簡単に無視することはできない。つまり、会社員に実は権限は与えていないから契約は成立しないのは言い訳にならない。もちろん、「代表者に見える」条件は厳しいが、同じような条件はこの例外に設けるべきだ。つまり、会社の報道部の幹部職員や役員ではない限り、その条件が満たされないだろう。会社の制服を着ていることや企業の施設で働いていることは絶対に足りない。
守秘義務も業務中の表現の自由と関わる。守秘義務があれば、表現の自由を盾に公表するわけにはいかないだろう。例えば、医療従事者が患者の身体状況を公表することを防ぐべきのではないか。しかし、「守秘義務」を乱用する恐れもある。例えば、従業員に仕事中の全ての出来事を守秘義務の対象として、何かを公表したら解雇することは想像に難くない。実際にあるそうだから、想像する必要もない。
これに対応するために、守秘義務の許される範囲を法律で定めるしかないかと思う。個人情報保護法のように、秘密にしてもいい情報を定めるべきだろう。例えば、同僚の年収を秘密とするが、自分の年収や労働条件に対する守秘義務を認めない法律は可能なのではないか。この問題は著作権の問題と本質を共有すると思う。他の社会的な利益を確保するため、表現の自由を制限しなければならないが、その制限を最低限に抑えるべきだ。
上記の条件は、採用する時点にも当てはまる。つまり、表明して意見に基づいて採用するかどうかを決めてはいけない。これは人種に基づいて差別してはいけないと同じような規則であるので、個別なケースに違反を証明するのは難しいが、習慣になったら会社に罰を与えることができる。
ところで、この場合の罰は、金額ではなく、会社の年間の売り上げの数パーセントに設定すべきである。そうしないと、大手企業は罰金を簡単に支払えるので、規則を遵守する動機がほぼなくなる。そして、大手企業の影響力は一番恐ろしいので、その場合こそ抑制すべきだ。例えば、一件あたり年間売り上げの1%の罰金を課したら、トヨタ自動車の場合300億円程度になるが、中小企業の場合、300万円程度になるだろう。
このような法律があれば、会社が普通に意見のために人を解雇しなくなると思う。会社員をいつもSNSで会社の悪口をする場合、裁判で争うことになるだろうが、普段は法律に抵触しないように従業員の表現をわざと無視することが常識になあるのではないか。これで、表現の自由を確保する。