日本が直面する大きな問題の一つは、過疎過密と一極化である。災害に対する強靭さの面からも、地域社会の継承の観点からも深刻な問題だ。参議院で毎回全県から議員を選出するために改憲が必要となった理由も、この問題だ。だから、異次元の解決策を提案する。
憲法上、地域の自治体の同意がなければ、その地域を特定する法律を成立させられない。それで、対策の形が制限される。しかし、それでも積極的に動けると思う。
まずは、人口密度の高い自治体に住む人に対して、所得税を割増する。低所得者に悪影響を与えないように、20%以上の税率に限定する。具体的な例があるように、2ポイントの増税としよう。そして、法人税も2ポイントを増税する。これは、密度の高い自治体の中の活動から発生する収入に該当する。本社を山村のバーチャルオフィスに移動することだけで避けることを防がなければならない。同じように、この場合住民票を偽ることも転入届を怠ることも脱税の罪になる。
「高密度」の定義は、市区町村レベルで決めて、1平方キロメートルあたりの人口は7,500人以上の密度とすると良いのではないか。このサイトによると、63の市区町村が対象になるが、その殆どは首都圏にある。名古屋市は7,123だそうだから、現時点で対象外になるが、この政策の結果でたくさんの人が名古屋へ流れたら、対象になる。だからこそ地域を特定する法律ではないし、合憲である。(ところで、千代田区も対象外になる。皇居と丸の内のオフィス街の影響かな。)
この増税だけで、首都圏を出る動機が現れる。そして、かなりの税収が発生する。この税収で、過疎地域の社会的なインフラを整備する。過疎地域の定義は、現在の定義でもいいと思う。対象地域の同意が必要になるかもしれないが、助成金を受けられるので同意するに違いない。(増税措置は自治体の不利になるので、同意は期待できない。)社会的なインフラというのは、公共交通網や小中学校、診療所や日常の買い物の場所等の子育て世帯に必要な施設を指す。助成金を出す時点で需要はないのは前提だが、供給はない限り子供を持つ家族は移住しない。悪循環を断つために国が動くしかない。
もちろん、増税の対象にならないが過疎地域ではないところも多い。名古屋市はギリギリ増税の対象外だが、仙台市の人口密度は1,500人を割るので人口が5倍になっても対象にはならない。もしかして、最初の移住はそのようなところへの移住になるかと思う。でも、それでいい。地方都市の活性化は、その周辺の自治体の活性化にもつながるし、一極化の解消にもなる。
現在、若者が首都圏へ流れる傾向は強いそうだ。一方、この増税措置で一番地方へ流れるのは若者であると思われる。すでに首都圏や大阪に根付いた中年層の人は、2ポイントの所得税のために遠くまで移住することは少ないと思われる。(文句を言うけれども。)一方、巣立ちをしようとする若者は、その舞台を選ぶ時点で税率を考えることは当然だろう。
そして、問題が解決されたら、この措置は自然に消滅する。自治体の人口密度が7,500人を割ったら、増税対象外になるので、税率が通常に戻る。確かに、そうなるために首都圏の人口が半減する必要があるが、過疎過密問題を解消するためにそのぐらいの変更は必要だろう。
人口の大きな変動を促すために、大胆な政策は必要不可欠であると思われる。副作用も発生するのは必然的である。しかし、問題に直面すれば、副作用の恐怖で何もしないわけにはいかない。政策を導入して、実際に発生する新しい問題と取り組むしかない。