搾取被害の防止策

最近、ジャニーズ事務所での性加害問題が大きく取り上げられる。確かに大きな問題だが、今は救済策は非常に限られている。加害は既に過去のことだから、被害者の苦しみを塗り消すことはできない。犯罪が犯されてからの対策にはこの問題はいつもある。加害を未然防止した方がいい。

もちろん、このような被害の根本的な原因は加害者の精神であるが、社会の構造がその犯罪を可能とする。その双方を忘れてはならない。加害者の責任を忘れたら、被害者は誰だとも忘れる恐れがある。一方、社会的な問題を忘れたら、加害者ではない私たちの責任を見逃すこともある。

加害者の精神を直接に変える術はない。子育て支援や教育で、そして社会の環境の改善で加害者になりそうな人の人数を減らすことはできると信じているが、大きな社会的な改善も必要だし、できてもそのような人を完全に無くすとも思えない。

だから、社会の構造に潜む原因も除外すべきだと思う。双方の原因をそれぞれ無くそうとしたら、結局被害を大幅に減らすことはできるのではないかと思う。

表面的で比較的に簡単な方策にも効果がある。例えば、上司と部下が二人きりにならなければ、性被害が少なくなると思われる。しかし、そのような方策は根本的な原因をなくさないし、それに曖昧な場合には効かない。被害は性被害には限らない。ただ、ほとんどの上下関係で性的な行為は不正であるのは明白だ。だから、第三者がいれば侵されない。一方、所謂パワハラは、普通の業務命令に見える場合は多い。「ハラ」になる理由は、行為の長期的な展開にあるので、第三者には見出しにくい。全ての搾取を無くすために、さらに根本的な原因と取り組むべきだ。

その社会的な原因の一つは、部下が逆らうべきではない精神である。つまり、部下が上司に常識として反論したり反発したりする社会を築く必要がある。上司(又は先生や親等)が必要性を説明して説得できれば、いう通りにしてもらうが、それはできなければ、望む行動は実現されない。

このような逆らいが常識になれば、上司も反発しない。反論に遭うことを当然と思って、事前に対応策を考える。もちろん、上手くできる上司もなかなかできない上司もいるはずだが、後者は管理職に向いていない。

基本的に、このような状況で指導するために、信頼関係を築かなければならない。その中で、部下に目的をわかってもらって、指導がどのように目的に貢献することを一般的に明らかにする。その場合、多くの業務命令には問題はないだろう。

緊急な場合、信頼関係があれば、今命令に従って、後で説明を求めることはできる。後日の説明は不十分であれば、部下が抗議するが、それは当然だ。その場合悪いのは上司だ。

場合によって、部下が単純に嫌がることもあろう。例えば、納期に間に合うために残業は必要だが、部下はそうしたくない。その場合、交渉は必要だ。残業抜きに納期に間に合わない状況に陥っていれば、上司の誤りがあったか、過程で問題が発生したかという状態だ。問題の責任を持つ人が残業すべきであるのは当然だから、別な人に皺寄せするのは良くない。上司の責任であれば、自分の給与から残業代を出すことも考えられる。それでも説得できなければ、責任を負うしかない。

これこそは根本的な問題だ。上司が誤りの転嫁を勝手に決める状況から多くの搾取が生まれる。性的な搾取はその延長線上発生する。解消すべきなのは、根本的な問題だ。そうすれば、副作用の問題は自然に消える。

もちろん、問題が全てなくなるわけではない。例えば、不愉快な言葉を聞くことは残る。しかし、「指導に従わないと大変なことになる」という精神がなくなるので、搾取の機会がかなり減ると思われる。同時に子育ての方針で搾取しようとする精神を減らせば、問題をほぼ解消できるかと期待できるだろう。

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