作者の搾取

どの業界でも労働者が搾取される恐れがある。それを防ぐために、法律が定められる。例えば、一般的な労働には最低賃金がある。それを計算するために、1年間に必要な収入を定めて(例えば250万円)、そして2000で割って、時給を計算する。(この場合、1,250円になる。)2000時間は40時間の1週間の50回ですので、有給に相当する時間も含まれる。最低賃金に加わって、1年間の最低限を労働者に与えない雇い主には、副職を禁じたり妨げたりする行為を禁じるべきだと思うが、法律にはまだ不備があるだろう。

しかし、これほど簡単に計算できない職業もある。農業はその一つだが、私には農業についての知識はほぼないので、ここで論じない。執筆の仕事もそうだが、この業界がわかるので、提案する。

本の執筆から販売までの過程を見渡せば、最低賃金以上の収入を得ないのは作者だけだ。高収入を得る例外があるが、どこの国でも作者の大半は最低賃金に至らない。知っている統計はイギリスの場合だが、年収の中央値は130万円ぐらいだそうだ。それは中央値だから、作者の半数はその水準に至らない。250万円に至る人はどれほど少ないかは想像に難くない。或る業界で、生きられる収入を得ないのは商品を創り出す人に限ったら、その作者は搾取されていると言えるのではないか。

しかし、本の利益は予想できない謎だ。有名なのは、ハリーポッターを出版することを決めた出版社は作者のローリング氏に「これは生業にならないけどね」との手紙を送った逸話だ。いい意味で大外れだった。このぐらいの予想もつかない状況で、単純な計算はできない。それより、作者には商品の利益の一部を保証すべきだと思う。

具体的に言えば、消費者の出費の半分を作者の収入とすべきだろう。つまり、本は千円で売られたら、作者が500円をもらう。今は、その半分以下だが、今は作者は搾取されているので、作者の分を上げるしかない。仕組みとして、出版社は最高値を設定して、出庫する一部あたり、その最高値の半分を作者に支払う。本屋さんがその最高値以上の値段をつけて販売すれば、その追加利益の半分を作者に支払う義務がある。出版社を通して払うのは無難だろう。

普通の小説で作者は一人である場合、これは単純にできる計算だ。

複数の作者の独立した作品が一つの商品に集まる場合(例えば、短編小説集)、商品の割合と同じように収入を分散すべきだ。作品の文字数が品質を計らないが、品質を客観的に計る術はないので、量で割り当てるのは公平な方針だと思う。共同作品の場合、作者が契約で分割割合を決めるべきだ。ただし、不当な圧力で低い割合を受けさせられた作者が民事裁判で賠償を求める権利を与えるべきだ。

小説の挿絵などが問題になる。これで、作品は小説で、挿絵が追加された場合、収益の半分は執筆者に支払われる。画家は残りの収益から報酬を受ける。しかし、絵本のように絵と文章は同等な立場にある場合、その半分は執筆者と画家に分割される。割合は、共同作品の感覚になる。一方、画集の場合、収益の半分が画家に支払われる。解説の文章があっても、その報酬は残りの収益から取られる。

この方針が導入されても、売れない本を書く作者は執筆で生きられない。一方、普通に売れる本の作者は、生活が成り立つだろう。そして、作品から発生する利益の半分が作者に流れれば、作者は搾取されているとは言い難いのだ。本の業界に大きな改革をもたらすが、それは妥当だと私は思う。

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