現在の日本は、三つの危機に直面していると思う。
一、世界環境崩壊。
一、少子高齢化。
一、過疎過密化。
経済は危機ではない。回復する余地は確かに充分あるが、動いている。人手不足の問題は、少子高齢化と過疎過密化の副作用だし。
福祉予算の問題も、少子高齢化の副作用。
安全保障の厳しい環境は好ましくないが、危機には値しない。
他の問題も危機になる可能性を孕むが、まだ危機に至っていない。将来に危機になるかもしれない問題に対応するために眼前の危機を放置してはいけない。
当然、政治資金パーティーの報告書の記載漏れは日本の危機であるとは到底言えない。
上記の三つの危機への対策は、長期的な方針ではない。長期的な方針が可能になるために解決しなければならない危機である。解決しないと、維持できる日本がなくなる。積極的に取り組めば、20年間で解決することか、解決される軌道に乗せることかできるはずなので、その時点で長期的により良い社会を築くための方針を導入できるだろう。今は、先送りすべきだ。
そして、この三つの危機を乗り越えるために大胆な方針は必要である。社会の構造と深く関わる問題だから、社会を揺らがす対策でなければ、すでに効果は期待できない事は明朗である。
もちろん、社会的に脆弱な方に負担を課さないように工夫すべきだが、その反面社会的に強い立場にある人に意図的に負担をかけるしかない。個人だけではなく、法人でもそうだ。わざと破壊することではないが、負担は必要であるのは認めざるを得ないし、負担に耐えられるのは強い方だ。大手企業に特化した規則や中央値以上の収入の家庭への増税は具体例であろう。
この規模な危機に対応して成功した実例は歴史には少ないが、日本には複数ある。律令国家の設立、徳川幕府の設立、明治維新、そして戦後の立て直しだ。
日本だからこそできるのではないか。
ただ、日本の歴史には乗り越えられなかった危機もあった。応仁の乱、平安時代の終焉。その失敗の後遺症は数百年続いた。自己満足して、日本だから乗り越えると甘えれば、先人の大失敗を繰り返す。
もちろん、成功例にも後遺症はあった。特に、戦後の立て直しが現在の危機を引き起こした。だが、解決できた問題は日本が焼野原になったことだった。今の世代の責任は、眼前の危機を乗り越えることだ。できるだけ新しく危機を引き起こさないように工夫するのは妥当だが、予想外の結果で危機が発生する可能性はいつもある。それでも、今の危機で崩壊するより、子孫に危機を渡した方がマシだ。日本はまだ貧しい国だったら、過疎過密化の危機も少子高齢化の危機もないだろうが、代わりに餓死の問題があったかもしれない。
つまり、危機と積極的に取り組まなければならない。他の些細な問題に対して、危機対策に暇が出れば特化した改善策を導入すれば良い。だが、私のような一般市民には何ができるのだろう。自分で解決できるわけではないし、解決に向けた組織も見当たらない。
これは現在日本の悲劇だろう。