非関与に基づく関与

外政に対する関与で、軍事侵攻は明らかに根拠になるし、言葉での抗議は明らかに根拠にならないと述べた。その間が難しくなるとも認めた。今回の記事で、関与の根拠にならない行動を指摘したいと思う。

それは、他国の行動に関与しない行動である。

ふっと見れば、これは当たり前だと思われるだろう。周りの国に迷惑をかけないことが制裁などの関与の根拠になるわけはないだろう。しかし、某国が悪質な行動を行っている場合、その国に対して何もせずに貿易や外交を続けることは良くないと思う場合は多かろう。例えば、北朝鮮に対する経済制裁を破れるのは良くないと言われる。

まずは、国連の決議があれば、重い意味があると思う。国連に加盟する国は、国連の決議に従う義務を背負うので、国連から離脱するか、従うかという選択肢だろう。

しかし、国同士の場合は違う。甲国が乙国に対して関与すべきであると判断したら、関与する。一方、丙国が乙国に対して関与すべきではないと判断したら、関与しないだろう。関与するかどうかは安易に決められることではないので、丙国が甲国と違う結論に至っても、丙国を許すべきだと言えよう。非関与は原則だから、非関与の判断を尊重すべきである。

軍事的な関与の場合、これは問題にならないだろう。中立な立場を保つ国に対する侵略等しないのは原則である。だが、経済制裁は違う。

仮に、甲国が乙国との貿易を完全に断絶したとしよう。しかし、丙国がそうしない。乙国の行動に関与しない。そのため、丙国の商社は甲国からものを仕入れて、乙国に転売することはできる。丙国の法律や規制に触れない。だが、それを許せば、経済制裁の効果が大きく落ちるのは明白だ。仲介役が売買に入るので、価格がある程度上がるだろうが、必要とする商品を入手することはまだできる。だから、甲国は乙国と貿易する国にも制裁を課すことを考えるのは当然だろう。

しかし、それは倫理的に許すべきではない行動だと私は思う。他国の同意を得られなければ、経済制裁の効果は限定的であるのは事実だが、それを認めるべきだ。直接的な貿易関係は強ければ、一方的な制裁もかなりな打撃になる場合もあるが、貿易はあまりない場合は、効果は期待できない。

では、甲国が丙国に関与すれば、それは他の国の関与の根拠になり得るだろうか。そうなるのではないかと思われます。外国への不正な加害に値するし、それに意図的であるので、咎めるための関与の根拠になる。その関与は、甲国の関与に相当する関与であれば良いだろう。

つまり、ある国に関与したければ、他の国を説得すべきだ。説得できなければ、圧力を与えて賛同させようとする行動は理念に背く。そのような行動をとる国に対して、関与しても良い。ただし、非関与は原則だから、関与すべきだとは言えない。

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