環境問題と転嫁

環境問題が叫ばれて久しい。例えば、現代の生活の為に電力は必要不可欠である。しかし、化石燃料で火力発電から得た電力の副作用として、気候変動が進んでいる。生活の負担の一部を転嫁しているし、それは負担を背負う人を軽蔑することとなる。気候変動の場合、国全体が沈む島国の国民は顕著な例であるが、バングラデシュは高潮などの洪水に対して脆弱であると言われるので、そのような国も大きな負担を受ける。多くの利益を得ているのは別の国の住民であるのは言うまでもない。温度変化を1.5度以下に抑える為に、社会構成に大きな変化は必要であるが、すぐに実現できるとは思い難い。今までの実績を見ればそう思ってくるが、深層な理由も考えれば、同じ結論に導かれる。

まずは、環境問題を解決する為に、生活に大きな変更がもたらされる。それ自体は抵抗感を呼び起こす。自分の生活が無理矢理変更されたら、反発するのは当然だろう。それに、意志の尊厳を侵すように見える。自分の生活を自分で決めるのは意志の尊厳の中心にあるからだ。その上、一人の活動には環境への影響はないか、軽微であると言える。世界中ただ一人が大きな車をどこにでも運転しても、環境問題にはならない。数億人がすれば初めて問題が発生する。(もしかして数千万人は充分だろう。)それは事実であるから、自分が問題の行動をやめても、問題解決にはならない。社会全体が止めるのは必要である。気候変動の場合、アメリカの社会の車の使用などを大幅に抑えない限り、解決できないだろう。そうする為にアメリカ社会の構造を根本的に立て直す必要もあるし、都市の文字通り立て直す必要もあるので、実現は期待し難い。その事実を踏まえて、何をしても効果はないと思ってくる。この場合、自分の生活への悪影響しか残っていないので、行動する意義がなくなる。

それだけではない。人によって、生活との関わりはさらに深い。例えば、私の両親がイギリスとアメリカに住んでいる。気候変動を考えれば、航空旅行を避けるべきであるが、そうすれば親と会えなくなる。パイロットになった人は、このような影響を避ける為に仕事もキャリアも失わなければならない。より社会的に見れば、私有の乗用車を無くさずに問題を解決するのは難しいが、そうすればトヨタなどの会社が破綻するので、日本社会全体への影響は極めて大きい。失業率が急速に上がるだろう。

それでも必要な対策を仮に取れたとしても、感じられるいい結果は全くない。なぜなら、気候変動対策の目的は、現状維持に過ぎないからである。大きな問題が起こらないように動く。しかし、成功したら、多くの人は「予想された問題は発生しなかったな。予想外れだったね。あの苦しくて厳しい対策は不要だったね。」と思ってしまう。これは大きな間違いであるが、問題は目の前になかったら、人間は実在することを信じるのに苦手である。(隕石の落下問題は実際に大きな問題であるが、映画以外見たことのない問題であるので、対策を提案しても人が動くことは少ない。)

まだある。途上国も環境問題と真剣に取り組まない限り、解決できない。特に中国とインドである。しかし、貧困問題も大きい。インドや中国の政府は、先進国の政府に対して不公平性を訴えることは多い。先進国は環境に損害を与える手段を使って進歩したが、他の国に同じ手段を禁じようとしている。筋が通る反論であることは否めないが、環境問題が不公平であるからなくなるわけではない。

だからこそ環境問題は難しいと私は思う。

失望せずに進む為に、次の方針を考えている。

まず、不十分な対策を実現する。問題の解決にならないとしても、問題の緩和になるし、発展の速度を落とすので、本格的な解決を講じるための余裕を得る。

そして、技術の進歩を促進する。電気自動車と再発可能エネルギーの発展で、二酸化炭素を出さずに車を運転できるようになるだろう。生活への影響が軽くなれば、実現の可能性が上がる。

同時に、対策の必要性を強調し続けるべきである。必要性を感じる人は、対策が取りやすくなると、取ると思っても良かろうのではないか。

最後に、環境に悪影響を与える行動の必要性を減らす為に社会の構造の改革と取り組む。社会改革で感じられる利益を与えれば、副作用として環境への悪影響が減ることは歓迎されると思っても良いのではないか。

このような具体策を考えて、環境問題との取り組みを促進したいと思う。

1 コメント

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  • 三菱やホンダなどが航空機産業に乗り出して久しい。
    ホンダジェットは翼の上にエンジンを載せて失笑を買ったのに、流体力学上燃費が良くなることが判明し、今では販売台数世界首位に躍り出た。

    中島飛行機から数々の軍用機を開発してきたし、技術的土壌は既に整っていたから、その気になれば開発は容易か。

    後は核融合。
    エネルギー依存度が高く、戦前は石油禁輸された経緯からか鋭意研究開発し、連続稼働時間では世界首位でこの分野ではお家芸らしいけど。

    ホンダジェットが世界首位、燃費の良さや快適性が評価 17年、43機を引き渡し
    https://www.sankei.com/photo/daily/news/180222/dly1802220012-n1.html
    ついに国内導入! 燃費を17%向上させたホンダジェット・エリートの受注をスタート
    https://www.webcartop.jp/2018/06/243609

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