恋愛の結び

「縁結び」を祈る人の大半は、恋愛結びを願っているのだろう。人間にとって重要な結びであるし、行動を狂わせるほどの力も持っている。そのためだと思うが、歴史的にこの結びを蔑視したことは多い。しかし、私はそうすべきではないと思っている。恋愛の結びも重要な結びの一つで、高い価値のあることである。ただ、非常に強く感じることは多いので、充分注意しながら扱うべきだろう。

「恋愛」を言葉で定義するのは難しいが、読者のほとんどは体験から分かると思う。普段、色欲と深い関係を持つが、そればかりではない。恋に落ちたら(罠のように)相手との性的な関係を望むのは一般的だが、それ以上一緒に会話したり、一緒に経験したり、一緒に何もせずに時間を過ごしたりしたくなる。

恋愛の結びは単に性的な結びではない。恋を感じずに性交することはできるし、実際にする人は少なくない。それはただの遊びになるか、別な結びになるかはともかく、恋愛の結びではない。逆に、恋愛を結んでも性交しないことも少なくない。特に、中学生は恋に落ちる年齢になっているが、実際に性交する人は少ない。

では、恋愛の結びは本質的にどういうことか。ある人に惹かれて、強い興味を持つようになる。そして、自分の幸せはその人と結び付く。相手がいないと落ち込むが、戻ってきたらまた喜ぶ。その上、この気持ちには客観的な根拠はない。相手はなぜ憧れるかと聞かれたら、まともな答えはできないことは殆どだ。それでも、この結びにたくさんの時間を喜んで注ぐ。

これを考えたら、恋愛の結びの価値は何だろう。重要な役割がある。それは、普段関わらない人との関係を結ぶことだ。自分の環境、即ち趣味や親戚や職業の範囲内で会う人とは共通点は少なくないし、閉ざされた世界になる傾向がある。しかし、恋愛はその輪を破って、完全に別な人との縁を結ぶ。このような結びは大変重要である。敵対関係になっている組織でも、恋愛が乗り越える。階級の壁、言語の壁、距離の壁、この全ては恋愛が乗り越える。

つまり、結びの輪の固定化や閉鎖的な状態を防ぐために、恋愛を広く認めた方が良いのではないか。恋愛は合理的な絆ではないからこそ優れた価値を持っている。

確かに、恋愛の結び自体は永く続かない。数ヶ月か、長くても数年間になるだろう。これも周知の通りである。その間、二人が一緒に時間をたくさん過ごして、話し合って、一緒に二人の趣味を体験して、そしてお互いに身体を体験する。短時間で相手を深く知るための最善の方法なのではないか。だから、恋愛は長くて強い結びの基礎になることに適している。数十年間一緒になる結びは大変なことだから、気軽に結ぶわけにはいかない。一方、相手を深く知るために、時間も関心も必要になる。恋愛で、その二つを短時間に集中させてもらう。

普段、夫婦の結びに展開すると言われるが、それだけではない。結局夫婦にはなれないが、一緒に計画を実現することはできるとか、ある趣味を一緒に展開させる組になるなど、他の可能性も認めた方が良いのではないか。そして、検討の末、結局長期的な結びに相応しくないことが分かる場合もあることも認めるべきである。

恋愛の成功は結婚であるという固定観念が払拭されたら、恋愛関係の社会的な問題点も和らぐと思われる。特に、親が子の恋愛相手をいつも認めることになる。親もその相手と親に適する関係を築く。詐欺などの防止にもなるし、失恋などの問題に親が適切に対応できるようになる。友人同士も同じようになる。そして、社会の常識を逸脱するのは恋愛の役割であることは広く認められたら、他人に非常識に見える恋人は当然なことになる。

もちろん、このように社会的な態度が変わっても、恋愛はまだ大変である。号泣や喧騒が付き物であることには変わりはないだろう。しかし、惟神の道は平の道ではない。起伏は激しいが、その代償として景色は素晴らしい。

恋愛を認めたら、未婚のセックスも認めなければならない。普通の恋愛で、性交を否定すれば、恋愛自体を否定すると等しい。恋愛は社会の枠を越えるために存在するので、同性の性交なども当然認めなければならない。それでも、恋愛を一般的に認めるべきであるとしても、認めるわけにはいかない場合もある。すぐに思い浮かぶのは、先生と生徒だろう。医者と患者もそうだし、上司と部下も同じかもしれない。恋愛の関係は、上記の通り、とても強くて、行動を狂わせる情熱だから、冷静や公平や客観を求める関係を維持しながら恋愛を持つことはできないだろう。

重要なのは、問題はセックスではない。問題は恋愛である。先生と生徒がお互いに恋に落ちたら、実際に性交しなくても教室の秩序が乱される。ただし、このような恋は選択出来ることではない。拒否もできない。「恋に落ちない」と決めることはできない。だから、禁止令は無意味である。必要なのは、対策である。ここではその対策を掲げることはできないが(紙幅を言い訳にできないが、同じ概念である)重要なのは、恋をすぐに告白できる状態である。キャリアなどに問題にならずに恋を明かせる環境は必要である。そうではないと、対策を取ることはできない。

最後に、既婚の人の新恋に触れなければならない。問題だが、夫婦の結びを詳しく考えない限り、詳しく分析できない。

これほど問題を起こす恋愛だが、その重要な役割を失わないように工夫すべきであると私は思う。

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