神棚祭祀の御祓

神棚の祭祀は家庭内の毎日の祭祀ではあるが、祭祀であることは変わらない。祭祀は、日常生活と区切りを入れて行うべきである。そして、祭祀は、穢れが入らない時空間として見立てる。神饌の投稿で、神棚祭祀の後で神饌を夕飯として食べるのは良いと述べたが、それで夕飯が祭祀の最後の区切りになる。

祭祀の開始の印になるのは、当然御祓であろう。御祓で穢れがない状態を見立てるし、祭祀を執り行う心理も導入する。但し、家庭祭祀を毎日の行動としたいなら、御祓を長くしない方が良かろう。

祓詞として最短の「祓え給い、清め給え」は十分だろう。そして、できれば代表者が祓え串でまず自分を祓え、それから神饌と他の参列者を祓える。

儀式の次第とすれば、下記の通りだろう。

まず、祓え役が祓え串の前で一礼する。

そして、「祓え給い、清め給え」という祓詞を唱える。

次、祓え串を両手でとって、自分の胸の前で左右左に振るう。この間、低頭する。

それから、神棚にまだ置かれていない神饌の前でまた祓え串を左右左に振るう。

最後に、家庭の人に向かって、また左右左に振るう。この間、家庭の人が低頭する。

最後に、祓え串を戻して、一礼する。

祓え串を机などの上に、神棚の隣下に置くのは良かろう。それは難しい場合、神棚に置いても差し支えないだろう。向かって左の端が置く場所の候補になる。向かって左は下位だし、端なら正中から遠いので、御祓の前の行動をなるべく神様が鎮座するところから遠ざかる。しかし、別な机などに置ければ、その方が良いと言わざるを得ない。

祓え串はない場合、皆で低頭して祓詞を唱えても良い。

これで、祭祀が始まることを明らかにするし、穢れの無い状態を見立てる。

神棚は祭祀のための空間の印になるが、家庭内で注連縄などで祭祀の区域を区切ることはできないと思われる。しかし、神棚の清浄を保つことは重要である。これは物理的な掃除も、御祓も意味する。お札が安置するところを掃除するために、お札を移動しなければならないが、移動先は清浄でなければならない。

掃除の作法を下記の通りに考えても良かろう。

まず、机などを綺麗にする。

それから、上記の通り自分を祓える。

そして、机を御祓する。祓詞を唱えて、祓え串を左右左に振るう。この場合、ちょっと長くなる祓詞を利用と良い。

次は、一礼してから、お札を神棚から下ろして、机に安置する。できれば、仮お札立てに立てた方が良い。横にするのはちょっと失礼であるから。

これから、神棚の物理的な掃除を行う。ものを降ろしたり、拭いたり、洗ったりする。そして、元どおりに戻す。

神棚の準備ができたら、祓え串の前で祓詞を唱えて、そして神棚の前で左右左に振るう。

机の前に一礼してから、お札をまた神棚に遷す。最後に、二拝二拍手一拝の作法で神棚にお参りする。

この作法で、神棚は特別な存在である意識を守るので、祭祀の心理に貢献する。そのため、掃除する人が輪番で決まれば良い。掃除に参加しない人は、神棚の特別さをそれほど感じないので、なるべく多くの人が経験するのは良い。

頻度は家庭によって異なるが、原則として新月に行うと良かろう。1ヶ月程度の間隔なら大きな負担にならないが、神棚の汚れが目立たない。榊をこの時に替えるべきであるので、間隔が長くなると、榊が枯れてしまう。できれば、2週間に1回がさらに良いかと思うが、負担が確かに増える。

これで、御祓で家庭祭祀の時空間を日常からちょっと離れさせる。それは、祭祀の執行に重要であると思う。

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