国際共同研究

国が天文学のような基礎研究に助成金を出しても良い場合は、国際共同研究である場合だと私が思う。この場合、国家が見込める利益は、主に研究成果ではない。むしろ、国際関係の構築や信頼関係の増強等だ。これで、国民の世界舞台での活躍がよりスムーズに進むと思われる。

基本から始まったら、共同研究で海外の研究機関と日本の研究機関の間に良好な関係が築かれる。(例外はもちろんあるが、特に日本側が研究費を多く出したら、良好な関係が自然に発生することは多かろう。)1箇所であれば影響力はあまりないかもしれないが、例えばある国の大学の大半が日本と共同研究を行ったら、その国の政府が日本に対して経済制裁を課そうとしたら、大学が反発する。自分の研究に大きな打撃になるからだ。

影響はこのような直接的な反応に限らない。日本と共同研究を行ったことがある研究者は、新しい研究を企てたら、日本と共同で行う可能性を考えることは多かろう。そして、学生等が海外の経験を求めたら、日本を提案する可能性も高くなる。とにかく、或る国の中で知識人の多くが日本と良好な関係を保ちたいと思えば、少なくとも国際環境には悪影響を与えないだろう。

その上、海外の研究者との共同研究のお陰で、日本人の研究者が新しい知見を得る。研究の重要性を測ろうとする研究で、国際共同研究の重要性が比較的に高くなる傾向が認められている。それは、多様な背景から問題と取り組む人が一緒に働けば、より重要な問題を解決するのではないかと仮定されている。

しかし、国が具体的な要件を設けることもできる。例えば、研究費を得るために、該当する外国が日本人にビザなしの観光や商業のビザの簡易申請を認めるのような条件も考えられる。つまり、研究費の見返りに、当国で日本人の活動範囲を広げてもらう。

具体的な条件を設けない場合でも、国際関係の問題を解決する梃子として使えるだろう。研究が問題と直接的に関係しないことは多いので、研究の分野で協力して、問題が解決しない間に良好な関係の基礎を敷くことができる。例えば、日本と韓国の関係は領土問題と歴史認識問題でぎくしゃくしている。この問題は基礎研究と関係しないので、韓国の研究者が日本の研究者と共同で研究することはまだ多いと思う。その研究で、日本と韓国の間の関係が問題以外の側面で発展する。

このような研究で、具体的な条件として例えば研究者の4割以上は海外に拠点を置くし、4割以上が日本国籍を持たないこととしても良いと思う。(3割まで引き下げても良いかもしれないが、3割未満は足りないだろう。)このような条件で、海外で働く日本人も、日本で働く外国人も対象になるので、研究だけではなく、人間の往来も促進される。

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