職業の結び

職場でも結びがある。しかし、同僚は皆「友人」であるとは限らない。これも周知の通りなのではないか。もちろん、「同僚である」ことは、友人の結びの根拠になることもあるが、そうならなくても、同僚との結びがあるべきであると私は言いたいのである。

この結びの質は何だろう。一緒に働く人の特徴は、一緒にある計画を実現することである。職業の結びは、その共有する目的に基づく結びであると思う。相手は、目的に貢献できる限り結ぶことである。

つまり、相手と個人として結んでいない。計画の一員として結んでいる。だから、結びが計画以外に及ばない。相手の生活には結びの対象外となる分野は多い。恋愛関係が仕事に影響を与えない限り、この結びと関係はない。仕事以外の時間を絶対に一緒に過ごしたくなくても、問題はない。一方、職業の結びはお互いの結びである。双方は一緒に働いていると感じない限り、一緒に働いているとは言えない。平行線で働いていることに過ぎない。

範囲は職業に限っているとは言え、相手の産霊が重要になる。職業の結びを持つ人には、技を鍛えて欲しいとか、一緒に良い計画を実現したいなどの産霊と係わる目的がある。そして、一緒に大きな成果を収めたら、一緒に喜ぶのは当然である。このような結びが強くなることもあるが、計画が完成され、組織が解散されれば、結びが完全に消える。もちろん、友人の結びが代わりに発生することもあるが、結びが途絶えることも良くある。職業の結びは有限な結びである。

それに、とても賛同できない意見を持つ人でも、強く批判したい行為を行う人でも、このような結びを維持することはできる。結びの範囲は仕事の範囲を出ないので、その外でのことは問題にならない。確かに、その行為は連続殺人などの極めて残酷なことであれば、見逃すことはできないだろうが、普通の過ちであれば、仕事に影響を及ぼさない限り、結びにも影響を及ぼさない。この点は重要だと思う。これで、立場と違う人との結びができるので、その結びの網が社会全体に及ぶことに貢献する。惟神の道を歩む人は、同じ道を歩まない人とも絆を結ぶべきである。

もう明らかだと思うが、職業の結びが友人の結びなどと根本的に違う。だから、職業の結びから友人の結びに発展する場合、難しい変換時期があると思う。結びの範囲が人生の全てに及ぶことを認めることには時間がかかるし、片方がそうしたいが、もう片方はそうしたくない場合もある。一方、友人の結びの根拠になり得る関係だし、恋愛の結びがどこでも発生し得るので、このようなことがあるのは予想できる。これは職場の人間関係が難しくなる理由の一つだろう。

ここで「職業の結び」と名付けているが、厳密に言えば職業には限っていない。重要なのは、一緒にある計画を実現しようとすること、そして結びがその計画の範囲を越えないことである。計画の内容は職業ではなくても良い。例えば、趣味でも構わない。一緒に一つの美術作品を作ることも良い。一人で実現できる計画は少ないので、このような結びは大変重要である。その上、結びは有限的であるので、維持できる数は多くなる。これは、沢山の人と結ぶ方法の一つである。

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