昇殿参拝

昇殿参拝でハレの気分を醸すのはそれほど難しくないだろう。普段しないことですし、参拝する前に手続きは必要であるので、参拝に集中することは当然である。参拝者は外国人観光客であると尚更だ。日本にいると常にハレであるので、神社に参拝することも当然ハレになる。

それでも、さらにハレの気を醸成するように努めると良かろう。

まずは、原則としてスマホなどを拝殿に持ち込ませないようにすると良い。これで、実践的な効果もある。スマホをマナーモードに設定するのは常識だろうが、忘れる場合があるのは避けられない。神事の途中で携帯が鳴ると不適切であるのは言うまでもないが、気を奪うことも多いのだ。だから、社務所で保管させてもらうのは良い。そして、スマホなどを渡すことで、日常ではない環境に入っている気持ちにもなるだろう。もちろん、安全な保管場所がある神社に限るが。

そして、服装のことを考えなければならない。一般的に「スーツやそれに準ずる服装」が勧められているが、それより和装を勧めた方が良いのではないか。「和装を持たない人は多い」と思ってしまうだろうが、実はスーツを持たない人も少なくないのである。スーツを当然持つのは、サラリーマンやそれに準ずる職業の人である。それ以外の人は、ちょっと高額の服装であるスーツを持たない場合もある。その場合、スーツを促したり常識と見なしたりすると、持たない人は除外されているかのように感じる。そのような印象はよくないと思う。一方、和装を促すと、持たない人は多いことは当然だから、「和装を持たない場合、構わない」と明記しなければならない。そのため、誰も排除されていると感じないだろう。

もちろん、和装で参拝する人の多くは、ハレの気分になる。日常的に和装を着る人は少ないからである。では、普段着で参拝する人をどうすれば良いのか。神社で、白い羽織るものを提供したら良いと私は思う。法被のような形で良くて、殆どの服装の上から羽織ることができる緩いものが良い。これを羽織ると、日常ではない気分が自然に湧いてくる。そして、服の上から羽織るので、一々選択する必要もない。これが難しい場合、襷を簡略化として利用したら良いのではないだろうか。和装の上にも襷をかけることはできる。襷が清浄な状態を示すことは、万葉集まで遡るし。

清浄化と言えば、御祓が思い浮かぶ。御祓でハレの気持ちを導き出すこともできる。ただし、そうするために、祭祀とはっきり区別した方が良かろう。つまり、御祓を拝殿に昇殿する前に行った方が良いような気がする。そうする神社も少なくないが、拝殿に行く途中で一旦立ち止まって、御祓を受けることで、これから特別な区域に入る気分が裏付けられる。この時点で法被や襷を渡すことも良かろう。

そして、作法として、御祓の後で会話などを控えてもらうのは良い。

神事が終わると、拝殿から案内した方が良い。ハレの時間が終わる時点を拝殿の外ではっきり示すとも良い。直会の機能の一つはケへの復帰を象徴することであると言われるので、直会やお下がりの手渡しを御祓を行う場所のちょっと外の方で行うか、出口と入口が分けられている場合、同じぐらいの距離で行う。直会と一緒に法被や襷を脱いでもらい、会話などの自粛もやめてもらう。スマホなども返す。それで、日常の世界から一旦遊離して、また戻った気持ちになろう。

これで、普通の昇殿参拝のハレを確保できるだろう。

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